今日は「日本酒の日」

今日は「日本酒の日」。由来は・・・日本酒は新米が採れる秋に造り始める。つまり、10月1日が酒造年度のはじまりに当たることから、この日が日本酒のひとされた。・・・以上、終わり。いくらでも詳しく説明したサイトがあるので、気になる人は余所で調べてください。
さて、せっかく「日本酒の日」なので、日本酒について考えてみたい。

今の日本酒の業界には、大きくふたつの「病み」がある。ひとつは、「桶買い」という問題。もうひとつは、「三増酒(三倍増醸清酒)」の問題。
【桶買い】 今の日本酒の世界では、余所の蔵元が造ったお酒をまとめて買ってきて(桶買い)、自社製品としてこっそり出荷するのが当たり前に行われている。この桶買い問題の本質はふたつ。
●ひとつは、品質も味も異なるお酒を買い集め自社銘柄で販売するためには、次ぎに示す「三増酒(三倍増醸清酒)」の温床になっている(後述)。
●もうひとつは、この「桶買い」が、大手蔵元が零細な蔵元を市場支配する手段にもなっているということ。・・・仕組みはこうだ。各都道府県を代表するような大手銘柄は、メディアでも宣伝を行い強い販売力がある。県庁所在地や東京など大きな消費地への販路も持っている。一方、弱小蔵元は販売力もなく、蔵元の近隣で消費されるだけ。自力で販売量を伸ばす力もない。そこで、桶買いという仕組みが使われる。弱小蔵元は大手蔵元に桶売りすることで、一定量の売り上げを約束される。大手蔵元は桶買いをすることで、販売量に比べて小さな生産設備で販売量を製造できることになる。また、遊休施設を意識せずに生産調整を行えるメリットもある。また、日本酒の酒税は「仕込み税」といわれ、生産する段階で生産量に応じて課せられる。大手蔵元は桶買いを前提とすることで、酒税負担を時期的に分散することが出来る。一方、弱小蔵元は税負担を一時的に立て替えることで、一定量を大手蔵元に買い取ってもらうことが出来る。
●弱小蔵元は桶買いがなくなると、経営的に成り立たない。かといって、自力で販売量を増やす力もない。もちろん、域内で直販努力をすると、大手蔵元から営業圧力がかかる。結果的に、大手蔵元の傘下で桶買い構造に組み込まれているしか生きる道がない構造になっている。・・・実は、「桶買い」「三増酒」問題を糾弾し、これらが解消してしまうと、困るのは弱小蔵元だ。いわば、トカゲの尻尾切り状態で大手蔵元が生き延び、弱小蔵元は苦境に立ってしまう・・・。
 ※余談ながら、「雨降神社の御神酒所」というコンテンツでカップ酒を集め始めた頃、通販の利用にためらいがあった。しかし、地方の弱小蔵元を応援するためにも通販は有効だと考え、最近は通販も利用するようにした。
【三増酒】 もうひとつは、「三増酒(三倍増醸清酒)」の問題。お酒を極端に薄め、化学薬品で味を調え、合成酒まがいの品質であるにもかかわらず「日本酒(普通酒の中に含まれる)」として堂々と売っている。原材料名に「糖類」および「酸味料」という表示がある物がこれに当たる。・・・ちなみに、先に触れた「桶買い」はこの三増酒の温床でもある。味の異なるお酒を購入してきて自社銘柄として売るには、お酒本来の味を薄めて、化学薬品で味付けをすると一定の味を保つことができる。実際、桶買いをしている大手蔵元には、どんなお酒からでも一定の味に仕上げる化学薬品調合のノウハウが蓄積されている。
●よく、「日本酒を飲むと悪酔いする」という感想を耳にするけど・・・体質的に日本酒が合わない人を別として・・・日本酒で悪酔いするケースの大半がこの「三増酒(三倍増醸清酒)」だ。アルコール分解と同時に大量の化学薬品を肝臓が分解しなければならず、肝臓の弱い人は三増酒で間違いなく悪酔いする。本格焼酎が販売量を伸ばす中、日本酒が低迷しているのは、質の悪い三増酒のせいだ。いわば業界の自業自得なのだが・・・。
 ※余談ながら、「雨降神社の御神酒所」というコンテンツでカップ酒を集め始めたせいで、三増酒に出会う機会が増えている。本来なら買う気も飲む気もないのだけど、カップ酒の種類を増やすためには仕方がない・・・ジレンマだ。せめてこういうところで、微力ながら正論を吐いておかないと、三増酒を野放しにしてしまう。

もうひとつ、流通の問題も指摘しておく。長いけど、読みたい人は続きをご覧ください。
   ↓

■酒類流通の現状
●蔵元(メーカー)→卸売り(二次・三次・四次と複雑な構造を持つ)→小売り店/飲食店を結ぶ酒類の流通は、近代化が遅れた日本経済界でも有数の存在といえる。これは日本酒に限らない。
例えば、国内大手のビールメーカーが一次卸として取引しているのはわずかに4社。その後、二次・三次・・・と階層構造の卸売業者を経て小売店や飲食店に届く。極めてコストのかかる非合理的な構造になっている。
日本酒と同じ大手メーカーと弱小蔵元が混在する本格焼酎も同様だ。例えば、九州の某有名麦焼酎は、都内での販売を仕切る一事業社を1社独占状況にしているため、小売店や飲食店に届くまでに、4~5段階の卸業者を経ていると言われる。その焼酎が高いのは品質による物ではなく、多くの中間マージンが乗っているためだ。
●さて、肝心の日本酒業界はどうか?
まず、まともな日本酒と、先に触れた三増酒の抱き合わせ出荷という実態がある。これが、需要と供給の関係を無視して三増酒をのさばらせる一因となっている。卸売業者には大小様々、それこそ無数に存在しているけど、ある程度の販売力がある。そのため、無理矢理押しつけられようと、三増酒を販売してしまえる力がある。さらに、卸売業者は日本酒の売り上げが落ちても、代わりにビールや焼酎が伸びてくれれば売り上げは減らないので、正しい日本酒を売りたいという意欲はない。
●吟醸酒や純米酒などは、心ある小売店、地酒を取り揃えた居酒屋、贈答用としてデパートなどに引き取られていく。
一方、三増酒はどこに行くか? ひとつはスーパーや酒類量販店、意欲のない小売店・・・旦那の健康など気にもかけず、晩酌代は安ければいいと言う理由で主婦が買っていく・・・。もうひとつは、お酒にこだわらない飲食店に送られる。銘柄のない「日本酒 一合 250円」などという売り方をしている近所のそば屋、中華屋、安い居酒屋などなど・・・。
と、このように、大手蔵元、弱小蔵元、流通業界、心ある小売店/飲食店から心ない小売店/飲食店・・・そして、正しい日本酒についての情報を与えられていない可哀想な消費者まで、デタラメな日本酒を支える構造が完全に出来上がっている。

さて、こうした状況で一消費者である自分に何が出来るか?
●ネットを通して三増酒・・・日本酒の現状を伝える。
●なるべく三増酒は買わない。
●心ない小売店/飲食店を利用しない。
●大手のお酒は買わず、弱小蔵元のちゃんとした日本酒をなるべく買う。

こんなことしかできないけど、みんながやれば強い力になるかも・・・。
これが面倒な人にはこういう対処法もある・・・。
●日本酒は飲まない。なるべく、焼酎やワインなど他のお酒を飲む。
たぶん、日本酒業界はこの対処法を推奨しているようだけど、これでは日本酒が廃れてしまう。正しい日本酒の文化も失われてしまう・・・。

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