●悪天候は、精神的にも「不安」というダメージを与える
天候の回復を待ってから行動するのが正しいとわかっていながらも、わたしも含めて自由に仕事の休みがとれない人は、少々天候が荒れていても予定通りに下山する必要があり、無理して行動してしまうことがあります。そんな時、心の中に「焦り」が生まれ、思わぬ事故を起こす可能性も高くなります。理想的には、夏山でも予備日をもうけて余裕のある山行計画を立てたいものです。
悪天候においては、その日の行動に「不安」を感じるようであれば、原則的に行動しない方がいいと思います。行動に不安を感じると、些細なことで思わぬ失敗を起こすことがあります。特に疲労が蓄積してきたときは、要注意です。ここでいう不安感には、技術的・体力的なものから精神的なものまで様々なものがあります。天候の悪化は、精神的にやる気をなくすという直接的な影響から、鎖場や岩稜の通過を技術的に難しくしたり、通常よりも体力を消耗させるといった具体的な不安感を生み出す元になります。
●対処法
悪天候で、当初計画したコースを進むのに不安がある場合、天候回復まで沈殿するか、安心して歩けるルートにエスケープすることになります。しかし、エスケープルートは他人の意見で決めてはいけません。濡れた岩場の通過に不安をいだくような場合、自分の実力で安心して通過できるルートでなければエスケープにならないからです。そして、自分の実力を出会ったばかりの人は、判断できません。
どうしても不安を感じながら行動しなければいけない場合は、同じ方向に行く登山者に正直に申し出て同行するのが無難です。もちろん、この場合、自分より経験のある人を選ばなければなりません。経験豊かなリーダーに率いられたパーティに、一時的に入れてもらうのが安全かも知れません。
しかし、他人を当てにしての行動は、相手にとっては迷惑なことですし、何よりも登山の本質を踏みにじる行為だと思います。悪天候に対する不安感を払拭するには、技術的・体力的に研鑽を積むと同時に、何度も雨に打たれて経験を積むしかありません。